ケーブルや端子をつながずに充電できる「ワイアレス給電技術」は従来から携帯電話、電気カミソリ等比較的
低電力の器機に応用されていました。その原理はいてって簡単でトランスの1次側と2次側を物理的に切り離した
ような構造なのです。トランスの原理は電磁誘導を利用していることはご存知かと思います。電磁誘導は1次側と2次側が物理的に離れていても
近接していれば成り立ちます。
近年、「ワイアレス給電技術」は電気自動車の給電にも応用する研究が進んでいます。すでに小型の電気バスで送電試験が行われているようです。
この装置は30㌔ワットの電力をバス側に送ることが出来、1次側のコイルと2次側のコイルの間隔は14㌢だそうです。
電磁誘導方式では1次側コイルと2次側コイルの軸が同一線上にないと効率が落ちます。この欠点を克服するために考えられた方式がマサチューセッツ
工科大学が発表した「電磁界共鳴」を使う方式です。
「電磁界共鳴」方式とは磁界の共鳴現象を応用します。共鳴現象とは振動周波数の同じ音叉を並べて配置し、一方の音叉を振動させると他方の音叉も振動する現象をいいます。
「磁界共鳴」方式では1次側のコイルと2次側コイルが軸線上になくても送電が出来、さらにコイル間の距離が数㍍離れていても伝送するそうです。
「電磁界共鳴」とはいったい何なんでしょう?、気になってネットを俳諧してみたらLC共振回路そのものでした。LC共振を応用しているのになんで「共鳴」という
言葉が出てくるんでしょう?、さらにネットで見ると最近は「電磁界共鳴」は「磁界共振」に統一されてるようです。こちらのほうがすっきりしますネ。
画期的な発明を発表するときは新しい言葉を使うことで「従来方法とは全く違う」ということを印象づける場合があります。特にメーカーが
絡んでいるとこの傾向があるようです。この「電磁界共鳴」という言葉がそれなのかどうかは判りませんが。
ワイアレス給電は電気自動車の発達と共に急速に開発が進んでいるようです。ここで話題にした「電磁誘導」方式、「磁界共振」方式のほかにも
考えられているようです。