PWM-00で学べること
PWM(Pulse Width Modulation)はパルス幅変調といい、信号波の大きさをパルス幅の大きさに変換する変調方法です。
変調をかけたい信号をPWM回路に入力すると信号波の電圧が高いときはパルス幅が大きくなり、信号波の電圧が低いときはパルス幅が小さいパルス信号が出力されます。
PWM信号は三角波または鋸波と信号波を電圧比較器(コンパレータ)に入力することによって得ることが出来ます。「PWM-00」では
U1AのLM393がこの役目をおっています。
図2は「PWM-00」でPWM変調を行っている部分を抜書きしたものです。シンクロスコープ等でこの波形は観測できます。
鋸波発生回路や三角波発生回路はPWMの最も重要な回路です。鋸波波や三角波はPWMではキャリア信号と呼ばれます。一般に信号波をPWM変調し、電力増幅
した後でローパスフィルターで復調(元の信号波の波形にすること)する場合(インバータ等)はキャリア信号の周波数は信号波の凡そ10倍以上の周波数が採用されます。
図3は「PWM-00」で採用されている鋸波発生回路です。
この回路でどのように鋸波を作っているか説明しましょう。LM393は電圧比較器(コンパレータ)です。6番ピンは鋸波の振幅を決める為の基準電圧です。5番ピンはコンデンサC7
の電圧が入力されます。
C7は定電流で充電され、端子電圧が上昇していき6番ピンの基準電圧を超えるとコンパレータの出力が反転してハイになりトランジスタQ9がONします。
その結果C7は急速放電しコンパレターの基準電圧以下になりコンパレータの出力は最初の状態に戻りトランジスタはオフ状態になりまりC7へ充電が再開され
基準電圧を超えたら放電する動作を繰り返します。結果的にC7の電圧は鋸波状のパルス列になります。
*****鋸波や三角波の発生方法はオペアンプを使う方法もあります。*****
こちらのページも参考にしてください---->コンデンサの定電流充電
定電流回路は鋸波発生回路のコンデンサに定電流を供給します。
定電流回路はいろいろな形態があるのですが「PWM-00」では定電圧ダイオードとトランジスタを組み合わせた定電流回路を採用しています。
図4のような定電流回路ではI1が決まればI1=I2の関係が成り立ちます。従ってVsを定電圧にしてやれば
I1は定電流になり、I1=I2からI2も定電流になります。
MOSトランジスタのドライブ方法は幾つかあるのですがここでは「PWM-00」で採用しているブートストラップという方法について説明します。
NチャンネルMOSトランジスタはゲート電圧がソース電圧より高くなければONしてくれません。ハーフブリッジやフルブリッジのハイサイド(電源側)に配置されたNチャンネルMOSトランジスタ
のゲートに単純に電圧を印加してもONしません。ブートストラップはこれをONさせる方法なのです。
駆動パルスが入力されるとQ8がONし、Q4はOFFになります。このときC2には赤点線のように充電電流が流れVcc-(D1のVf)まで充電されます。
次に駆動パルスがOFFするとQ8がOFFし、C2の電圧はQ3、Q5を動作させQ4のゲート電圧として印加されます。(青色点線の経路)
C2の一方の端子とQ4のソースは共通ですからQ4のゲート電圧は
ソース電圧より高いことになりますからQ4はONすることになります。
動作原理から理解できるようにブートストラップの方法はC2に充電する時間が必要なためデューティが100%では動作しません。