反転増幅回路

オペアンプ反転増幅回路

反転増幅回路

オペアンプの反転増幅回路は「+」入力端子を基準にして入力と出力の極性が逆極性になる増幅回路です。

オペアンプの電源に「±」の両電源を供給している場合、反転増幅回路では「+」極性の信号が入力された場合、出力は「-」極性に、「-」 極性の入力信号の場合は「+」になります。交流信号を入力した場合は反転増幅回路は位相が180°反転した信号を出力します。

非反転増幅回路と違い、反転増幅回路は減衰も増幅もできます。一般的に反転増幅回路の増幅率(ゲイン)は下記の計算式をつかいます。

反転増幅回路のゲイン公式---式1

計算上はいくらでも増幅率がかせげそうですが実際にそうは行きません。理論上の増幅率の上限はオペアンプのオープンループゲインになります。
オペアンプのゲインに関する詳細はこちら→オペアンプのゲイン

また、ゲインを大きくする為、帰還抵抗 Rf を大きくすると出力信号が不安定になる傾向があります。実際の回路ではゲインを大きくするする場合は 2段、3段の接続で増幅率を確保した方が安定した回路になります(接続段数が増えるとその分、入力信号に対する出力信号の遅れが増加します)。

入力抵抗 Rs の決め方

入力抵抗 Rs の抵抗値はオペアンプの入力インピーダンスより大きくしてはいけません。また低すぎてもいけません。 一般的には10kΩ前後が使われます。10kΩの場合Rfの計算が簡単になります。

入力抵抗に関する詳細はこちら→増幅回路の抵抗値について

直流反転増幅回路の設計例

オペアンプ直流増幅回路
直流反転増幅回路

ゲイン10倍の直流アンプを設計します。

  1. 最初に Rs を決めます。ここでは10kΩとします。
  2. ゲイン10倍、Rs=10kΩから式1を使いRfを逆算します。
    反転増幅回路の帰還抵抗
  3. Rc の計算をします。Rcはバイアス補償抵抗と言い、出力オフセット電圧を軽減します。
    Rcの値はRsと Rfの並列抵抗値と同じか、近似値の値をとります。計算式は下記を使います。
    反転増幅回路のバイアス補償
    E24系列から9.1kを選択します。
  4. Cfの計算をします。Cfは入力信号に混入する高周波ノイズを除去します。Rsと組合、ローパスフィルターを形成します。入力信号に高周波 が混入する恐れがないときはCfは不要です。Cfは除去したい高周波ノイズの周波数(fL)の1/5~1/10の周波数をもとに計算します。
    反転増幅回路のフィルタ
  5. C1,C2は電源、及びオペアンプ内部で発生するノイズのバイパスコンデンサです。付けなくても動作しますが、実用回路では付けるよう習慣づけた ほうがよいでしょう。値は一般的に0.01μ~0.1μのセラミックコンコンデンサーが使われます。

交流反転増幅回路の設計例

オペアンプ交流反転増幅回路

交流反転増幅回路

ゲイン10倍の交流アンプを設計します。

  1. 最初に Rs を決めます。ここでは10kΩとします。
  2. 直流反転増幅器と同様の方法でRfを逆算します。
    反転増幅回路の帰還抵抗
  3. 直流反転増幅器と同様の方法でRcの値を求めます。
    反転増幅回路のバイアス補償
  4. C f の値を計算をします。
    C f はRsと組合、ハイパスフィルタを形成します。また入力信号に含まれる直流分を カットします。C f の値は入力信号の下限周波数の(fs)を基準にして計算します。
    反転増幅回路のフィルタ
    こちらも参照してください→フィルタのカットオフ周波数

交流の反転増幅回路はオペアンプの電源に「±」の両電源が使われていれば直流反転増幅回路でも交流の増幅は出来ます。
上記の回路では入力信号に重畳する直流はカットできますがオペアンプ自体のオフセット電圧はRcのみでキャンセルできず、高ゲインの増幅回路の場合 入力オフセット電圧が増幅され出力信号に重畳されて現れます。すなわち交流の0点が+方向または-方向にずれてしまいます。
また、Rsに直列に入るCfの直流抵抗成分によってゲイン誤差を生じます。

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