オペアンプのオフセット調整はオペアンプ自身にオフセット調整端子がある場合はそれを利用すればよいのですが無い場合は外部にオフセット調整回路を追加することになります。
オペアンプのオフセットは扱う信号が交流の場合はダイナミックレンジさえ確保できれば問題にはなりませんが精密な直流増幅等ではゼロ点が確保出来ずやっかいな問題になります。
このページではオフセット調整を外部で行う場合の例を幾つか紹介します。
反転増幅回路でのオフセット調整
***「-」端子に入れるオフセット調整***
一般的には反転増幅回路に入れるオフセット調整は次に述べる「+」端子側に入れるのが普通ですが周辺回路の都合で「+」端子を利用できない場合は左図の
様に「-」端子にオフセット調整回路を接続します。
このオフセット調整は一種の加算回路として動作します。R1を通って「-」端子に流れ込む電流が信号に加算されて出力に現れます。
R1はRSと同様にオペアンプの「+」、「-」端子間に並列に入りますから、Rs、Rfを並列にした値よりはるかに大きい
値(100倍とか1000倍)にするのが望ましいです。
オペアンプの入力端子におけるオフセット調整電圧をVaとすれば

となります。
***「+」端子に入れるオフセット調整****
一般的によく使われるオフセット調整でオフセット調整電圧を「+」端子に加えたものです。R2は回路の他の部分への影響を少なくするため出きるだけ低いものを使います。
又はR2をRCに含めた値にする方法もあります。
オペアンプの入力端子におけるオフセット調整電圧Vaは

非反転増幅回路でのオフセット調整
非反転増幅回路に入れるオフセット調整は若干問題が発生します。図3をみてわかる通りRfを小さい値にしていくとオフセットの
調整範囲がどんどん狭まっていきます。このオフセット調整は回路のゲインが2倍とか3倍の場合は有効ですが、ゲインが低い場合おすすめできません。
オフセット調整の電圧範囲Vaは

オフセット調整は慎重に
*---オフセット調整は、やも得ず行うものです。回路のなかのオペアンプ全てにオフセット調整を付加するような愚は避けるべきです。
オフセットの電圧、電流は入力信号に加算されてオペアンプに入力されます。オフセット調整の電圧が安定していないとゼロ点確保のために入れたしたオフセット調整が逆にノイズ源になったりします。
オフセット調整用の電源はツェナーダイオードや基準電源用ICなどを使って新たに作ったほうがいいです。---*