抵抗の温度係数とは温度1℃の変化に対する抵抗値の変化の割合で表現されます。単一素材の温度係数はα20で表され基準単位は10-3です。
すなわち1/1000の単位で表現されます。たとえば鉄の場合α20は
5.0×10-3というふうに表現されます。
一方、電子回路で使われる[抵抗器]の温度係数は ppm で表され基準単位は10-6(1/100,000)の単位で表現されます。どちらも「割合」ですからパーセントで表現することも出来ます。たとえば
1ppm=0.000001=0.0001%
温度係数を用いて実際に抵抗値がどのくらい変動するか計算する場合は次のように計算します。
Rh~Rr=R×(1±温度係数×周囲の温度変化)
例えば温度係数±60ppm、抵抗値10Ωの金属皮膜抵抗が-10℃~40℃の環境で使用されるとしたら、周囲の温度変化は50℃になりますから
10Ω×(1±60×10-6×50)=10.03Ω~9.97Ω となります。
代表的な抵抗の温度係数
- 炭素皮膜抵抗器(カーボン抵抗)の温度係数
- -200ppm/℃~-800ppm/℃。
- 金属皮膜抵抗器の温度係数
- ±5ppm/℃~±100ppm/℃
電子回路における温度係数の影響
ほとんどの電子回路は温度の影響を受けます。特に抵抗[抵抗器]の温度変化による抵抗値の変動は回路の性能に大きく影響します。
図1は定電流(常に一定の電流)を抵抗に流し、発生した電圧をオペアンプを通して出力させる回路です。いま回路の環境温度の変化が50℃あったとすればオペアンプの出力Vout
はどのくらい変動するか計算してみましょう。抵抗の温度係数は50ppmとします。

温度変化による抵抗値の変化はオペアンプの温度ドリフトに比べて50倍もの影響していることがわかります。
このように電流を抵抗を用いて電圧変換させるような回路では注意が必要です。